「毎日練習しているのに、コンクールで同じミスを繰り返す」
「本番になると突然崩れてしまう」
「音楽受験に向けて何をすればいいかわからない」

このどれかに当てはまるなら、この記事を最後まで読んでください。 原因は才能ではなく、練習の「順番」にあります。

01

練習量を増やしても上達しない、本当の理由

「もっと練習すれば上手くなる」——多くのご家庭がそう考えます。しかし現実には、練習時間を増やしても結果が変わらないケースが少なくありません。

理由はシンプルです。間違った動きのまま練習が積み重なっているからです。 人間の体は繰り返した動きを「正解」として覚えます。ミスが発生するポイントの動きを直さないまま練習を続けると、そのミスがより深く体に染み込んでいきます。

指導を通じて何百人もの生徒さんを見てきた中で、はっきりわかることがあります。上達が速い生徒と遅い生徒の差は、練習の「量」ではなく「何を直しているか」にあります。

指導実例(保護者の許可を得て掲載)

コンクール本番の2週間前に来たAさん(小学5年生)は、毎日1時間以上練習しているにもかかわらず、ある一節で必ず音がずれていました。原因は右手の「余分な力み」。それを自覚するためのシンプルなワーク(「歌いながら腕を脱力する」)を1週間続けたところ、本番では自己最高の演奏ができ、その年のコンクールで優秀賞を受賞しました。

02

伸び悩む小学生に共通する3つのパターン

何百人もの生徒さんを見てきた中で、上達が止まる子には共通するパターンがあります。お子さんに当てはまるものはないか、確認してみてください。

1

「音を出すこと」が目的になっている

音を出せている=弾けている、と思い込んでいる状態。動きではなく音の結果だけを見ているので、何がうまくいっていないか自分でわからない。

2

力の入れ方が毎回違う

強い音と弱い音の差がなく全体的に一様になっているか、逆に力みすぎて音が割れている。フォームが固まっていないため、本番で崩れやすい。

3

曲をフレーズとして歌えていない

1音ずつは叩けても、音楽としての流れが止まる。これは「頭の中で音楽が鳴っていない」サインです。音符を追いかけている状態では本番で音楽になりません。

03

「歌う分解法」——上達が速い子の共通点

コンクールや受験で結果を出す子には、ある共通点があります。「弾く前に、まず歌える」ことです。

指導メソッド

歌う分解法(うたうぶんかいほう)

「歌えない音楽は弾けない」——これが私の指導の根本にある考えです。 技術的に難しいパッセージも、まず口で歌えるようにする。歌えたら、その感覚を手に移していく。 この順番で練習すると、動きが「理屈」ではなく「感覚」として定着します。 文部科学大臣賞を受賞した生徒も、国際コンクール出場者も、全員この方法を使っています。

「歌う」というのは、音程やリズムを口ずさむだけではありません。そのフレーズに込められた感情や流れを、声に乗せることです。歌えるようになると、演奏に方向性が生まれ、ミスが減り、本番で崩れにくくなります。


04

上達する練習の「正しい順番」

どんなに素晴らしい練習内容でも、順番が間違っていると効果が出ません。以下の順番を守ることが大切です。

現状を「知る」

どこで崩れているか、自分で理解する。録音・録画して聞くのが最も早い。「できているつもり」の先入観を外すことが出発点です。

まず「歌う」

問題のある箇所を、楽器を持たずに声で歌う。音程・リズム・強弱・フレーズの方向性を全て歌で表現できるまで繰り返す。

「分解」して動きを整える

歌えたら、そのフレーズだけを取り出してゆっくり叩く。余分な力みや無駄な動きを一つずつ取り除いていく。

「つなげて」曲にする

整理された動きを曲全体につなげる。このとき再び「歌いながら弾く」ことで、音楽の流れを保ちながら安定させる。

05

保護者の方へ——「頑張ってるのに結果が出ない」は、親子で一番つらい

お子さんが毎日練習しているのに伸びない状況は、本人以上に保護者の方が心配されます。「才能がないのかも」「先生を変えるべきか」という不安を抱える方も少なくありません。

ただ、多くの場合、原因は才能でも練習量でもなく、「どこを直すか」が明確になっていないことだけです。正しい視点を持てば、多くのお子さんは必ず変わります。

15年以上の指導で確信しているのは、「伸びない子」はいない、ということ。変わるきっかけが見つかっていないだけです。